線を引く

今日から11月ですね。

今年も残り2か月、なにかやり残したことはないですか?

 

カウンセリングの際に、クライアントさまから「境界線の曖昧さ」についてお聞きすることがあります。

親しい間柄だと、相手の気持ちに共感したり、自分の気持ちに寄り添って欲しくなりますよね。

相手が悩んでいたら親身になって話を聞いたり、聞いているうちに自分も同じような気持ちになってしまう感受性の強い方もいるかもしれません。

相手の気持ちに寄り添うのはとても素敵な事だと思うし、

誰だって受け止めてもらえたと感じられると嬉しいものですよね。

 

ただ、その感覚がずっと同じでいられるかというと、それもなかなか難しい・・・

どんなに親しい間柄であっても、血のつながった親子でも、

人は自分だけのスペースを持っています。

感覚や気持ちは、100人いれば100通り。似ている感覚同志の人であっても、どこか違う部分は必ずありますよね。

それは頭ではわかっているのですが、それでも、相手とわかり合いたいという気持ちが強くなった時に、

相手と自分との線引きが上手くできなくて苦しくなってしまう人達がいます。

 

この、人と自分との間の線引きを心理学では「境界線」と言います。

境界線がなぜ必要かと言えば、境界線をきちんと引くことで、自分の感覚・感情を自分だけのものとして守ることができるからです。

逆に言えば、自分の感覚を自分だけのものとしてしっかり守れるということは、相手の感情・感覚も大切に尊重できるということ。

「自分のもの」と「相手のもの」をちゃんと区別できるかどうか。

この線引きが、見えないので・・・上手く線を引けないな、と苦しく感じてしまうことがあるんですよね。

自分でも知らずに相手の領域に入り過ぎてしまったり、自分が必要以上に我慢していることに気づかず相手の荷物をたくさん持ってしまっていたり。

自己肯定感や自己重要感が低めの人は、他者からの承認を無意識に求めてしまいがちなので、

この境界が曖昧になりやすい傾向があります。

 

そういう私も、10代の頃は境界線がとても曖昧で、相手にものすごく感情移入してしまったり、

自分の感覚のみで相手に接してしまったりしていたので、

途中で自分がとても苦しい(何に苦しいのかはわかっていません)とか、仲良かった友人となんだか気まずくなってしまった(原因はよくわかっていません)などといった経験があります。

なので、境界線の重要性は身に染みています。

 

境界線を上手く引こうとするよりも、相手と自分の間には境界線があるんだよ、とちょっとだけ意識しながら日々を過ごすだけでも、効果はあるように感じます。

そして、自分は自分でいて良いんだという感覚を自分の中に作っていく。

この作業も、コツコツと積み上げることで、ちゃんと自分の中に作ることができますよ。

相手の感情ばかり気になってしまう場合は、境界線が曖昧になっていないかな?と自問するチャンスですし、

〇〇は〇〇、私は私。

この言葉を呪文のように繰り返すのも一つの手です。

私は境界が曖昧に感じる時に、地面に枝でザクザクと線を引く映像を頭の中でイメージしたりします。

それをするだけでも、相手と自分との間に線を引けた気がするから不思議です。

境界線が曖昧になる理由に、自分でも気づいていない思い込みが影響していることもあるので、

今から新しく、新しい思考の回路・考え方の癖・自分だけの感覚を作っていけば良いのですよね(^^)

それはいつからでも、作ることができると私は思っています。

 

投稿者プロフィール

有城蘭
有城蘭くれたけ心理相談室(札幌支部)心理カウンセラー
北海道札幌市を拠点に心理カウンセリングを承っております。心の声に耳を傾け、心に寄り添ったカウンセリングを心がけております。

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